大阪高等裁判所 平成8年(行コ)17号 判決 1996年10月25日
控訴人 田靡清 ほか三名
被控訴人 姫路市長
代理人 一谷好文 長田賢治 ほか一三名
主文
一 本件各控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実及び理由
一 当事者の求めた裁判
控訴人らは、「原判決を取り消す。兵庫県姫路土木事務所長が、原判決別紙物件目録記載の土地について平成三年一一月八日になした都市計画法四三条一項六号ロの確認処分は無効であることを確認する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は、主文と同旨の判決を求めた。
二 事案の概要
原判決の事実及び理由中の「第二 事案の概要」欄に記載のとおりであるから、これを引用する(但し、原判決九丁表六行目の「市街化調整区域とされた時点」の次に「(昭和四六年三月一六日)」を加える。なお、以下、控訴人らを「原告ら」という。その他の略称は原判決のそれによる。)。
三 当裁判所の判断
当裁判所も、原告らは原告適格を有さず本件訴えは不適法であるから、これを却下すべきものと判断する。その過程は、次のとおり当審における原告らの主張に対する判断を付加するほかは、原判決の事実及び理由中の「第三 争点1に対する判断」欄に示されているとおりである(但し、原判決一〇丁表七行目の「本件土地についても」の次に「平成七年一月六日」を加える。)。
1 当審における原告らの主張
(一) 原告らの日照等の生活環境利益の侵害
(1) 原告らは、本件処分の対象地である本件土地の西側及び北西側に隣接する地域に居住する住民である。ところが、本件処分がなされた結果、市街化調整区域の中にある本件土地の上に、原告らの居住地に隣接する市街化区域(第一種低層住居専用地域)でさえ建築が認められていない高層マンション(同建物の建築確認通知書の予定建築物の用途欄には中高層共同住宅との記載があり、実際には高さ三九・一五平方メートルの建物)が建てられようとしている。そうすると、これまで原告らが享受してきた日照等の生活環境利益は、隣接する第一種低層住居専用地域において認められている低層建物の建築に伴う変化(不利益)にとどまらず、本来、被らないで済んだはずの大きな変化(不利益)を受けることになるから、これは、もはや、単なる反射的利益の喪失にとどまらない新たな日照等の生活環境利益に対する侵害である。そうだとすれば、原告らは、少なくとも隣接する第一種低層住居専用地域における建築制度を越える建築による生活環境の悪化を防止することができなければならない。
(2) しかも、本件処分において既存宅地と認定された部分には、従前から宅地であった部分だけでなく竹が生い茂っていた斜面を切り開くという「開発行為」によって新たに宅地化された部分も含まれていて法二九条の開発の許可が必要な場合であった。しかるに、そのような手続がとられないまま行われた右のような誤った確認処分、すなわち本件処分の結果、原告らの日照等の生活環境利益が不法に害されようとしている。
(二) 原告適格の根拠づけ
(1) 開発許可(法二九条)との関係から
<1> 法は、市街化区域又は市街化調整区域において開発行為をするには原則として都道府県知事の許可を要することとし(二九条)、さらに、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発許可区域以外の区域内における建築行為については、原則として都道府県知事の許可を要することとし、ただし書においてその例外を列挙している(四三条一項一号ないし七号)。そのうち、本件で直接問題になる同条一項六号をとりあげてみれば、同規定の既存宅地の確認は、端的にいって市街化調整区域における建築物の新築等に対する都道府県知事の許可の免除、言い換えれば同区域における建築制限の解除に他ならず、法二九条と四三条とは相互に密接な関連を有する規定である。
<2> ところで、法二九条に関しては、同条の開発許可がなされるべき場合の適合基準の一つとして、法三三条一項七号及びこれを受けた同法施行令二八条があり、これらの規定が崖崩れや出水等の災害防止を目的とした規制を行い、かつ、崖崩れや溢水防止のための設計基準につき比較的具体的な規定を置いていること及びこの規制によって、周辺住民は、崖崩れや出水による生命、身体の安全等公益に解消し難い性質の法益の侵害から保護されているとみることができることからすると、法三三条一項七号は、周辺住民の個人的利益を個別具体的に保護する趣旨を含むと解することができる。また、別の適合基準の一つとして、法三三条一項一〇号及びこれを受けた同法施行令二八条の三があり、これらの規定は、騒音、振動等による環境悪化を防止するために設けるべき緑地帯及び緩衝帯につき具体的な定めをしているところ、この規制によってもたらされる利益の性質も騒音、振動による被害からの保護という身体の健康に関わるものであることからすると、法三三条一項一〇号についても、周辺住民の個人的利益を個別具体的に保護する趣旨を含むと解することができる。
したがって、法二九条の開発許可が誤ってなされた場合には、周辺住民は、当該許可処分により自己の法律上の利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者として、当該許可処分の取消訴訟等を提起することができ、周辺住民には当該開発許可処分取消訴訟ないし無効確認訴訟の原告適格が認められるというべきである。
<3> そして、法四三条が前記のとおり法二九条と密接な関連を有する規定であり、法四三条二項が「前項の規定による許可の基準は、第三三条及び第三四条に規定する開発許可の基準の例に準じて、政令で定める。」として、同条一項に基づく建築物の新築等の許可につき、法二九条の許可の場合の基準に準じて行われるべきものとしていることからすれば、法二九条の開発許可に対する取消訴訟ないし無効確認訴訟について周辺住民に原告適格が認められるのと同様に、建築物の新築等の許可の免除というべき法四三条一項六号所定の既存宅地の確認処分についても、周辺住民には、その取消訴訟ないし無効確認訴訟の原告適格が認められるというべきである。
(2) 日影による建築物の高さ制限(建築基準法五六条の二)との関係から
<1> 法四三条一項六号所定の既存宅地の確認の申請は、原則として建築物の建築が全面的に禁止されている市街化調整区域内での建築物の建築を企図して行われるのであるが、既存宅地の確認処分が得られてもそれだけで目的が達せられるのではなく、さらに、建築基準法六条所定の建築主事による建築確認という処分を経てはじめてその目的が達成されるものである。すなわち、既存宅地の確認は建築確認と密接に関連する制度であるから、建築基準法は、既存宅地の確認を定める法四三条一項六号と目的を共通にする関連法規であるというべきである。そして、建築基準法五六条の二が、近隣居住者の日照を法律上保護する趣旨を含み、近隣居住者の日照が同条によって保護される法益であることについては異論がないから、既存宅地の確認を定める法四三条一項六号も、少なくとも近隣居住者の日照については、これを直接保護する趣旨を含むものとみることができる。
<2> 右のとおり、市街地を形成している区域及び優先的かつ計画的に市街化を図るべき市街化区域においてさえ、近隣居住者の日照を受ける利益は法的に保護され、違法建築により日照の侵害を受ける近隣居住者が建築確認処分取消訴訟の原告適格を有することは異論なく認められている。
しかるところ、既存宅地の確認処分は、市街化調整区域についてのみ問題となるものであるが、建築基準法の規定の仕方からみると、同法五六条の二は、「用途地域の指定のない区域」(市街化調整区域も「用途地域の指定のない区域」である。)については、地方公共団体の条例が日影規制の対象となる区域を具体的に指定してはじめて日影規制が適用されると解される余地がある。一方、建築確認処分取消訴訟において、既存宅地の確認処分と建築確認処分との間に、いわゆる違法性の承継が認められるという保証はない。また、建築主事が建築確認をなすにあたっては、法四三条に適合するか否かは形式的な審査をすれば足りるとされている。そうすると、市街化調整区域で既存宅地の確認がなされた土地上に建築される建物によって日照に被害を受ける周辺住民に既存宅地の確認処分の取消訴訟・無効確認訴訟の原告適格を認めないとしたのでは、本来、市街化を抑制すべき区域、すなわち高層建物の建築などは予想されていない区域である市街化調整区域の周辺住民には日照の侵害に対する司法的救済が全く与えられないことになる事態を招きかねず、極めて不合理である。
(3) まとめ
以上のとおりとすると、原告ら本件土地周辺住民が享受してきた日照等の生活環境利益は、法四三条一項六号等の関係規定によって個々人の個別的利益としても法的に保護されているというべきであり、原告らは、本件処分の無効確認訴訟である本訴につき原告適格を有するというべきである。
2 右主張に対する判断
そこで、以下、原告らがその主張のような日照等の生活環境利益の侵害を理由として、本件処分の無効確認請求をする原告適格を有するか否かについて検討する。
(一) 法の一般的目的や、法四三条が市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内における建築行為等について原則として都道府県知事の許可を要するとする一方、その例外を定めた趣旨及びその例外の一つで本件処分の根拠規定である四三条一項六号の規定の趣旨等は、原判決に示されているとおりであり、そこでは、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内における無秩序な市街化を防止し、市街化区域との地理的関係等自然的社会的諸条件を含めた全体的な観点から計画的な市街化を図り、もって都市の健全な発展と秩序ある整備を図ることを目的としているということができる。
そして、右にみてきた規定の内容や制度の趣旨及び処分の性質からみると、都道府県知事(ないしその委任を受けた者)が行う法四三条一項六号ロのいわゆる既存宅地の確認処分は、土地登記簿又は固定資産課税台帳その他の資料によって対象土地が市街化調整区域とされる以前から宅地となっていたか否かを当該土地の客観的な状態に即して判断してなされるべきものであると考えられ、右確認処分にあたり原告らが主張するような日照等の生活環境利益の喪失の有無をも考慮に入れて既存宅地であるか否かの判断をすべきであるとは解し難い。右確認処分の性質・内容に鑑みると、当該処分を通じて原告らが主張する日照等の生活環境利益を原告ら周辺住民の個別的利益として保護しようとしていると認めるべき根拠は見出し難い。
(二) 原告らは、法二九条の許可処分の取消訴訟ないし無効確認訴訟について周辺住民の原告適格が認められるのと同様、本件処分の無効確認訴訟についても原告ら周辺住民の原告適格が認められるべきである旨主張するが、右法二九条の許可処分の取消訴訟ないし無効確認訴訟について原告らがいうように問題なく周辺住民の原告適格が認められるのかどうかそれ自体一つの問題である。また、仮に、原告らが指摘する法三三条や三四条の規定には、その規定の内容からみて、崖崩れや溢水を防止しあるいは騒音や振動による被害を防いでこれを周辺住民個々人の利益として保護しようとする趣旨が含まれていると解すべき余地があるとしても、本件処分の根拠規定である法四三条一項六号については、原判決が示すとおりの理由により立法されたものであり、かつ、その規定の具体的内容からみて、原告らのいう日照等の生活環境利益を原告ら周辺住民個々人の利益として保護しようとの趣旨を含むと解し難いことは前示のとおりであり、法三三条や三四条を基準として行われる法二九条の開発許可処分と法四三条一項六号ロにいういわゆる既存宅地の確認処分とはそれぞれその法的性質を異にするから、右開発許可の基準を援用して本件処分について原告適格を根拠づけようとする原告らの右主張はたやすく採用できない。このことは、法二九条と法四三条の関係について原告らがいうところの密接な関係を考慮に入れても変わらない。
(三) さらに、原告らは、日影に関する建築基準法五六条の二の規定との関係から、法四三条一項六号の規定も少なくとも近隣居住者の日照についてはこれを直接保護する趣旨を含むとみることができるというが、前示のように対象土地の客観的な状態に即して判断されるべきであると考えられる既存宅地の確認処分の性質からすると、右建築基準法の規定は既存宅地確認処分の根拠規定と直接関連するものではないというべきである。確かに、既存宅地の確認申請は、通常、原告らのいうように、確認された既存宅地上に建築物を建築すること等を企図してなされるものであろうが、だからといって建築基準法五六条の二の規定がこれに先行して行われる既存宅地確認処分の根拠規定になるものではない。また、原告らは建築確認処分の取消訴訟等の場で既存宅地確認処分の違法性を争うことの困難性を理由として既存宅地確認処分の無効確認訴訟における原告適格が肯定されるべきである旨の主張をするが、後続処分たる建築確認処分を行う建築主事の審査権限の範囲いかんによって、先行処分たる既存宅地の確認処分の処分要件を定めた法規の解釈が左右されるとする見解そのものが既に採用し難いものであるから、建築基準法の規定と関連づけて原告適格の存在をいう原告らの前記主張もたやすく採用できない。
なお、開発許可制度の運用に関しては、確認を行った土地における予定される建築物の用途、規模等については、当該土地の存する市街化調整区域の集落の土地利用の現況及び隣接又は近接する市街化調整区域の用途地域等と整合が図られるようその内容について指導することが必要であるとされている(「市街化調整区域における開発許可制度の運用について」昭和五七年七月一六日建設省計画局長通達<証拠略>―記二―・同日同局宅地開発課民間宅地指導室長通達<証拠略>―記一三―)が、これも開発許可制度の円滑な運用を期するために、地域の実情を考慮し、地域住民の立場にも十分配慮した現実的な制度の運用を図る必要があることをいうものであって、周辺住民個々人の個別具体的生活環境利益を保護すべきことをいうものではない。
(四) 以上のとおりとすると、結局、本件処分の根拠規定である法四三条一項六号の規定を、本件処分を通じて原告らが主張する日照等の生活環境利益を原告ら周辺住民個々人の法益として保護しようとしているものであると位置づけることはできず、原告らの原告適格の根拠づけに関する主張は理由がないといわざるを得ない。
四 結論
以上の次第で、本件各控訴は理由がないから、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 上野茂 高山浩平 長井浩一)
【参考】第一審(神戸地裁平成七年(行ウ)第三四号 平成八年二月二八日判決)
主文
一 本件訴えを却下する。
二 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第一請求
兵庫県姫路土木事務所長が平成三年一一月八日付で別紙物件目録記載の土地についてした都市計画法四三条一項六号ロの確認処分は無効であることを確認する。
第二事案の概要
一 本件は、兵庫県姫路土木事務所長によって既存宅地の確認処分がなされた別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地」という。)の近隣住民が、右処分は、同土地が市街化調整区域とされた時点においてその大部分が宅地ではなかったにもかかわらず同土地を既存宅地と認めたものであって、その瑕疵は重大明白であると主張して、同処分の無効確認を求めた事案である。
二 争いのない事実
1 兵庫県姫路土木事務所長は、平成三年一一月八日、訴外大高興産株式会社に対し、本件土地について、都市計画法(以下「法」という。)四三条一項六号ロに適合することを認める処分(以下「本件処分」という。)をした。
2 兵庫県姫路市における法四三条一項六号ロに定める既存宅地の確認に関する権限は、法八六条一項に基づき、姫路市長に権限を委任する規則(平成七年兵庫県規則第三四号)によって、平成七年四月一日から姫路市長に委任された。
三 争点
1 原告らが本件訴えを提起するにつき原告適格を有するか。
2 本件処分に重大明白な瑕疵があるか。
第三争点1に対する判断
一 行政事件訴訟法三六条は、無効等確認の訴えの原告適格について規定するが、同条にいう当該処分の「無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者」とは、行政庁の当該行為により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいい、右にいう法律上保護された利益とは、行政庁の当該行為を定めた行政法規が私人等権利主体個々人の個別的利益を保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合における右の個別的利益をいうと解するのが相当である。
本件において、原告らは、既存宅地の確認処分はいわゆる建築確認処分と手段結果の関係にあるところ、本件土地についても訴外姫路市建築主事によって既に建築確認処分がなされており、近い将来、本件土地上に中高層共同住宅が建築されることは明らかであって、本件処分に基づく建築行為及び右共同住宅によって、本件土地の近隣住民である原告らの日照、通風、電波受信、プライバシー、衛生面及び農作物に対する利益が侵害されると主張するので、原告らの主張する右利益が、前記の法律上保護された利益に該当するかについて判断する。
二 法は、都市計画の内容等を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とするものである(一条)が、法は、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため、都市計画区域を区分して、既に市街地を形成している区域及び優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域である市街化区域と、市街化を抑制すべき区域である市街化調整区域を定めるものとした(七条)上、市街化区域又は市街化調整区域において開発行為をするには原則として都道府県知事の許可を要することとし(二九条)、さらに、市街化調整区域においては、市街化を抑制するためには、開発行為の規制だけでは不十分であり、たとえば市街化調整区域に定められる前までに造成された宅地に住宅が建築される場合のように開発行為を伴わない建築行為等をも規制の対象とすることが必要となることから、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内における建築行為等については、原則として都道府県知事の許可を要することとし、その例外を列挙している(四三条)。そして、いわゆる既存宅地の確認について定めた四三条一項六号はその例外の一つであるが、同号の趣旨は、市街化調整区域内の土地であっても、その土地が市街化区域と同一の日常生活圏を構成する一定規模以上の集落内にあり、しかも市街化調整区域とされた時点で既に宅地になっているなどのものについてまで一律に市街化調整区域としての建築等の制限を行うのは実情にそぐわないことから、そのような宅地で都道府県知事の確認を受けたものにおいては、建築物の建築等に都道府県知事の許可を必要としないこととしたものと解される。
以上のような法四三条一項六号及び関連諸規定の趣旨に鑑みると、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内における建築等の許可制度を定める法四三条及び既存宅地の確認を定めた同条一項六号の各規定は、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図り、もって都市の健全な発展と秩序ある整備を図るという公益目的を実現するための制度であって、当該土地の近隣住民について、その日照、通風、電波受信、プライバシー、衛生面及び農作物に対する利益を個別的に保護すべきものとする趣旨を含むものではないというべきである。
したがって、原告らの主張する利益は、いずれも単なる法の反射的利益にとどまり、法律上保護された利益ということはできないので、原告らは、本件処分を争うについての原告適格を有さないと解するのが相当である。
第四結論
よって、その余の争点につき判断するまでもなく、本件訴えは不適法であるから、これを却下することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条、九三条一項本文を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 辻忠雄 下村眞美 溝口稚佳子)
別紙物件目録<略>